飲食店をやってた。 つい最近まで。 そこは、昭和ヒトケタ築の木造二階建て。 亡くなった自分の父より早生まれ&長生き。 オヤジが死んでいなくなっても、 それより早生まれの「ボロ家屋」が残ってるのは不思議な感じ。 でも、よく考えたら歴史的建造物なんて、その比じゃないけど。。 子供の頃から「古家屋」って憧れてた。 漆喰の白壁。 黒々とした梁。 柱と壁で建物の構造性を高めるから、自ずと壁の面積が多くて。 その結果、窓が少なく採光が限られてくる。 そんな暗さの中での「仄かな灯り」は美しく感じる。 立て付けの悪い「ガタガタ引き戸」はいいし。。 そこに、欄間があったらもう最高!! 店は、木造二階建ての一階部分の7割くらいを占めてた。 奥には、独身男性(団塊世代)が住んでた。 店の二階には、風呂無し物件が2世帯あった。 自分が店を始めた頃は、おっさんが2人住んでた。 もちろん別々に。 1人は几帳面な人で、毎朝、外を掃き掃除してくれてた。 もう1人は大雑把な性格の人で、猫を飼ってた。 名前は、チビ。 大雑把な性格のおっさんは、そんなにお金がないから、餌は百均で売ってる猫缶ばっかり。 餌をやる回数が少ないから、当然、猫はいつまでたっても「チビ」のまんま。 几帳面なおっさんは耳が悪いみたいで、日中は、テレビの大音量が2階から降ってきてた。 テレビショッピング〜♪ 昼のドラマ☆ 夕方のお相撲!! だけど、あんまりニュースの声は聞こえて来なかった。。 独身のおっさんたちは、 いっつも2階にいて、 仲が悪くはないみたいで、 時々友達をよんで、 お酒を飲んで、 麻雀して、 ウォーっ。て大声出して。。 夜のニュースの時間になると、誰かが「帰るぞー!」 重たい足取りで木造階段を降りてくる音がする。 時間を開けずに、別のおっさんが階段を降りてくる音がする。 時には、ガハガハ大声で喋りながら。 時には、悪態をつきながら。 何人かのおっさんたちが、ギシギシ音を立てて次々と木造の階段を降りてくると。 必ず誰か1人が階段を踏み外す音がする。 ドドドド。。。。ッ おっさんたちは慣れたもんで、滑り落ちてくるおっさんを途中でせき止める。 「あ''ー。。イテテッ」 おっさんたちの必ず誰か1人が、 「この階段はョ〜、いっつになったら。。。」 愚痴を言い悪態をつきつつ、ワイワイと夜の町に出かけていく。 おっさんたちご贔屓のカラオケスナックに向かって。。 既に平成になってからかなり時間が経ってたけど、木造家屋の2階だけは妙に昭和だった。